21回 ハンガリー語の動詞(6)動詞の定活用について1

 

 これまでハンガリー語の動詞の活用を勉強してまいりました。不規則動詞の現在変化も終わり、これで全部ですと一度は私も申し上げました。しかし、実はこれは適切な表現ではなかったかもしれません。それはこれからご紹介する、ハンガリー語の他の言語にあまり見られない特徴によるからです。

 ハンガリー語では直接目的語が特定のものであるかどうかによって動詞が別の活用の形をとるのです。つまり、「私は田中さんの書いた(特定の)本を読む。」という場合と、「私は図書館で本(というもの)を読む。」という場合の「読む」という動詞が、異なる活用形をとるという意味です。今まで皆さんが勉強した活用形は目的語が不特定の場合の活用(不定活用)のほうです。なお、定活用と不定活用の区別は時制にかかわりなく存在し、仮定形、命令形にも存在します

 おそらくこれを聞いて愕然とする方もいらっしゃると思いますが、私はいつも勉強する方々には「ハンガリー語と言う難しい言語を折角勉強し始めたのだから、ハンガリー語の一番難しい部分を是非味わっていただきたい。これを避けていてはハンガリー語の難しさがわからないし、人に自慢できませんよ。」という励ましとも何とも言えない言葉を送っています。

 

 もう一度整理して説明すると、下記のとおりです。

1)         直接目的語を取る動詞は、目的語が特定のものであるかそうでないかによって、活用形が異なります。

2)         直接目的語をとらない動詞、または直接目的語をとる動詞でもその目的語が特定のものでない場合は「不定活用」をとります。

3)         直接目的語をとる動詞で、目的語が特定のものである場合は「定活用」をとります。

 

 なお、目的語が「特定のもの」と言うのは、具体的には目的語が@固有名詞、A定冠詞のついた名詞、およびBいくつかの代名詞、疑問詞の場合です。

このなかで「いくつかの代名詞、疑問詞」とは ő, ők, ön, önök, maga, maguk, melyik... などです。

 

なお、代名詞の中で一人称と二人称は目的語になっても動詞は不定活用を取ります。

 

また、主語がénで、尚且つ目的語が二人称である場合には-lak/-lekという特別な活用語尾をとります。

 

 

同じ人称、数、時制で、同じ動詞を使っても目的語が特定のものであるかどうかによって次のように活用形が変わります。

 

Egy fiút várok.            「私はある一人の男の子を待つ。」(不定活用)

A fiút várom.                「私はその男の子を待つ。」(定活用)

(Téged) Várlak.            「私はあなたを待つ。」

 

不定活用と定活用の活用形(várを例に)

 

 

不定活用

定活用

én

várok

várom

te

vársz

várod

ő

vár

várja

mi

várunk

várjuk

ti

vártok

várjátok

ők

várnak

várják

 

 

不定活用と定活用の活用形(kérを例に)

 

不定活用

定活用

én

kérek

kérem

te

kérsz

kéred

ő

kér

kéri

mi

kérünk

kérjük

ti

kértek

kéritek

ők

kérnek

kérik

 

        olvasなどのように-s, -sz, -zで語幹が終わる単語は本来-jの部分が

子音の同化により-ss, -ssz, -zzになります。

従ってolvasは下記のようになります。

 

olvasom, olvasod, olvassa, olvassuk, olvassátok, olvassák

 

今回はちょっとヘビーでしたね。それでは今回はこの辺で。

 

 

 

戻る

 

トップページ